グレープフルーツと医薬品

掲載情報更新日:2023年5月9日

目次

Part.6もっと知るためのQ&A

グレープフルーツと医薬品が起こし得る「相互作用による健康への影響」は、年齢や体質・体調など患者一人一人で異なります。
このページに記載した内容はあくまで参考に止めておき、自身で判断せずに診察や服薬指導の際に医師や薬剤師に確認して下さい。

Q1

グレープフルーツとの相互作用のあるとされる医薬品を服用中ですが、実はグレープフルーツを食べています。今まで体調悪化などはありませんが、今後も食べ続けて問題ないでしょうか?

A1

グレープフルーツと医薬品が起こし得る相互作用には、かなり個人差があることが知られています。
相互作用が強くあらわれやすい医薬品を服用しても、(血中濃度の上昇などの)影響が見られなかった例がある一方、相互作用が起こりにくいとされる医薬品を服用していた患者がグレープフルーツを飲食したところ体調が悪化したとの報告もあります。
テレビや雑誌などのメディアに掲載されている一般的な情報を鵜呑みにせず、先ずは日々の体調観察を含めて薬剤師や医師に相談して下さい。

Q2

薬を飲みながらグレープフルーツを食べたいと思っています。副作用などの対策として自己判断の基準はありますか?

A2

例えば、血圧を下げる薬(降圧剤)とグレープフルーツの相互作用としては、「血圧の低下(変動)」や「心拍数の上昇」などで、それらを原因とした頭痛やふらつきが現れます。
ただし、この状況が現れるスピートやタイミングは、「飲食の量や回数」「消化管に存在する酵素(CYP3A4)の量などの体質」や「病状」など、患者個々に異なります。これらを自己判断することは困難です。
自分で安易に判断せず、先ずは薬剤師や医師や確認して下さい。

Q3

「グレープフルーツを飲食すると、血圧が下がるなど薬が効きすぎる」とありますが、逆に高血圧治療へのメリットが増すのでは?

A3

グレープフルーツと医薬品が起こし得る相互作用には大きな個人差があるだけでなく、グレープフルーツ中のフラノクマリン類の量は品種や果皮/果実などの部位で一定していません。したがって弊食による薬効の増強効果を狙っても上手くコントロールできず、かえって急激な血圧低下などを招きふらつきによる転倒などの事故が懸念されます。
治療効果アップを目的に、安易にグレープフルーツを摂取することは避けるべきだと考えます。

Q4

毎朝一回飲む血圧の薬を処方されています。夕方になればグレープフルーツを飲食しても良いのでしょうか?

A4

「グレープフルーツと医薬品との相互作用は比較的長く続き、数日間持続する」との報告があります。また、相互作用が生じる期間や影響の程度は年齢や体質・体調など一人一人で異なりますので、メディアなどの情報を自身で解釈せず、先ずは診察や服薬指導の際に医師や薬剤師に相談して下さい。

■参考文献

  • 杉山正康(著, 編集). 新版 薬の相互作用としくみ. 日経BP, 2022;第2版, 820p.
  • 森本雍憲(監訳). 医薬品-食品相互作用ハンドブック. 丸善出版, 2011;第2版, 584p.
  • 堀美智子(監修, 編集). 医薬品・食品相互作用ハンドブック. じほう, 2006, 309p.
  • 大谷壽一(著). マンガでわかる薬物動態学. オーム社, 2021, 181p
  • 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会(編集). 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版, 2019, 304p.
  • 日本臨床内科医会(編集). 内科診療実践マニュアル. 日本医学出版, 2016;改訂第2版, 706p
  • 日本臨床内科医会(編集). 内科処方実践マニュアル. 日本医学出版, 2015;改訂第2版, 574p
  • 「健康食品」の安全性・有効性情報. “グレープフルーツと薬物の相互作用について (Ver.20090129)”. 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所.(参照2022-10-01).
  • 一般社団法人日本医療薬学会 お知らせ. “「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」の公表”. 一般社団法人日本医療薬学会 医療薬学学術第一小委員会.(参照2022-10-01).
  • ※コンテンツは、医師・薬剤師による監修を経て公開されています。
  • ※コンテンツに記載されている医薬品は、一般に「経口投与(口から飲む)の処方薬」を指します。